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これからの農業を支える
バイオ農薬の創造へ挑戦
バイオロジカル
ソリューションリサーチセンター
バイオ創薬グループ
Y.Y.
農学研究科 応用生命科学専攻
博士後期課程修了
2021年入社
これからの農業を支える
バイオ農薬の創造へ挑戦
分析業務を経験後、新規に発足したバイオ系研究センターへ
入社後2年間は登録性評価グループの分析チームで原体や製剤の機器分析業務を担当しました。原体・製剤の品質評価用の分析法開発や野外における有効成分の動態解析など、研究所内はもとより、製剤や実際の農業現場に至るまで幅広い部署からの需要に応える分析業務を経験しています。
企業の研究は、一つのプロジェクトに多くの関係者がいます。自分一人が実施できれば問題なかった学生時代とは異なり、例えば製造委託先など、自分以外の関係者でも同じように結果を得られることを考慮し、再現性の高い分析法開発を行うようになりました。
その後バイオロジカルソリューションリサーチセンターの立ち上げに伴い、バイオ創薬グループにアサインされました。学生時代は自然界に存在する植物や生物毒などから生理活性物質を探す研究をしていたので、このアサインは非常に嬉しかったですね。自分がやりたいと思っていた研究をやるチャンスが巡ってきたと思いました。現在は病害虫・病原菌に対して殺虫・殺菌活性を示す天然物から農薬候補の化合物を単離しその化学構造を明らかにする業務をしています。
未知の化合物探索と向き合う日々
天然由来の物質は多種多様なものが混ざっているため、なかなかうまく分離できなかったり、デリケートなものだと分離過程で壊れてしまったりします。細心の注意を払って分離してきたものがすでに知られているものだったり、毒性が強くて有効成分の候補として不向きだったりと、もう一度探索をやり直さなければならないこともしばしば。
加えて、探索しているのが未知の化合物ですから、これまでに確立された方法を試しても最終的に目指す化合物が取り出せないといった苦労もあります。それでも上手くいけばこれが会社の競争力強化につながると思うと、研究者としてワクワクします。
異動して間もなく経験も浅かった頃は、探索をより効果的に進められるよう、次工程にあたる生物評価についても学んだりしました。どのように評価が行われているのかを理解し、時には自分で評価することで、手掛けている探索の方向性や効果的な生物評価の手法などについて生物評価担当者と積極的なディスカッションを行いました。結果として探索研究の効率性を改善させることができたと考えています。こうした日々の試行錯誤の中で手掛けていたテーマで初めてひとつの化合物の抽出に成功し、その化学構造を明らかにしてめざす活性が確認できた時は、達成感を味わうことができました。
専門性を掘り下げた先で、多角的な視点を養いたい
自部門のミッションは農薬候補として今よりさらに良い化合物を見つけ、最終的に天然物由来の原体として世に送り出すこと。環境負荷の少ない農薬を生み出すプロセスのスタート地点を担っています。そんな初めの一歩である今の業務に、とてもやりがいを感じています。だからまずは自分の持ち場である探索研究を極め、バイオ系原体探索のスペシャリストになりたいと思っています。
その先で、専門性を掘り下げた後には生物評価など周辺分野の知識や技術を身に付け、研究の守備範囲を広げていきたいと考えています。農薬ビジネスは、世界人口が増加する中での食糧生産に関して解決案を提供できる。様々な経験を積み、バイオ系農薬の創薬プロセス全体を俯瞰しながら、時代が求める多様なソリューションを創造する研究者として世界に貢献していきたいと思っています。