work &
career
挑戦を続け、
新しい原体を開発・上市したい
研究開発本部
農業化学研究所
有機化学グループ
Y.N.
理学研究科
化学専攻 修士課程修了
2020年入社
挑戦を続け、新しい原体を開発・上市したい
学生時代の研究を活かし、新しい農薬の種となる
化合物の探索・創出を担う
学生時代は天然物の全合成やその類縁体の合成研究を行っていました。自分が学んだ有機合成を活かせる仕事を探していた際、当社を知りました。独自の骨格を有する原体や新規作用性を有する原体などを多く開発しており、研究開発に非常に力を入れていると感じたのが入社の決め手です。
入社後は、現在まで一貫して、新しい農薬の有効成分になり得る化合物の探索・創出に携わっています。具体的な業務は、開発テーマにおける仮説を立て化学構造をデザインし、合成ルートを構築した後に化合物の合成を行うことです。合成後はその化合物の植物・菌・虫などに対する活性を生物評価チームに評価してもらい、結果をもとに次の仮説を立てて、再び化学構造をデザイン。これを繰り返しながら、化合物の活性をめざす方向へ向上させていきます。
考案した化合物の合成がうまくできない時などは頭を抱えますが、その先で有望な化合物が見出された時には大きなやりがいを感じる仕事です。
合成ルートの改良を行い、
工程数の削減および研究スピードの増加に成功
かつて合成ルートの構築がチーム内で問題になったことがありました。それまで採用されていた合成ルートでは、最終化合物を合成するのに数十の工程が必要でした。しかし、一つの化合物の合成に時間を要してしまっては、研究全体のスピードが鈍化してしまいます。私は自ら手を挙げて工程数の削減に取り組みました。
可能性を模索してとにかく多くの文献を調べました。調べていくうちにいくつか課題解決のヒントは見つかりましたが、それを参考にいざ実験をしてみても狙った化合物は得られませんでした。
思い通りにいかず焦りを感じる日々の中で、自分の取り組みにより合成ルートが改良されれば、研究をより効率的・効果的に行うことができると信じて仮説構築と検証を繰り返しました。あの時はどんな些細なことも見逃さないように必死でしたね。また、私の知識不足により本来なら検討されるべき可能性が候補から外れてしまっては大変です。多角的な視点での検討を行い、可能性を見落とすことがないようにチームやグループでのディスカッションも積極的に行うことでブレイクスルーを目指しました。
結果、これまでの実験でわずかに得られていた副生成物が目指すべき化合物の中間体となり得ることが分かりました。その後更なる精査を行い、その副生成物を主生成物として得られる条件を見出しました。これにより一気に目指す化合物を作り出すことはできませんでしたが、数十ある工程を6工程にまで削減し、大幅な工程短縮に成功しました。最終的にチーム内の研究スピードの増加につながったと実感しております。
大切なのは、挑戦をやめないこと
研究者として、自身が携わった化合物が新しい原体として確定されるところを見たい気持ちはやはり強いです。原体の開発は長い年月と膨大な手間を要します。研究はすぐに成果が出ませんし、合成に非常に苦労した化合物でも活性が出ないことが多くあります。だからこそ、ポジティブに考えることを大切にしています。そこでネガティブになっていては次の行動に移れませんし、挑戦意欲が薄れてしまいますから。実際にやってみるまでその結果はわからないので、上手くいかなかった際は「上手くいかなかった」という結論を得ることができたと考えるようにしています。
これまで先輩方が独自の骨格を有する原体などを多く開発・上市してきました。次は私の番。このマインドで日々チャレンジしながら有機化学の研究者として成長していきたいです。