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通常より短い期間で、
新規製剤の開発をやり遂げた

研究開発本部 生産技術部
製剤グループ 
液系製剤チーム
Y.O.
医歯薬学総合研究科 
生命薬科学専攻 
博士前期課程修了
2019年入社

通常より短い期間で、
新規製剤の開発をやり遂げた

処方検討により製剤の種を製品に仕上げる

私の仕事は製剤開発の初期段階から処方を考え、最終的に製品として工場での量産を実現することです。まず、開発部がめざす製剤の薬効を踏まえ、有効成分の効果を最大限に活かす処方を検討します。ラボスケールで処方が固まってきた段階で、試作のスケールアップを行い、工場での量産・上市まで持っていきます。良い処方を考えてもラボスケール止まりになってしまうこともあり、きちんと量産できる処方を見つけられた際は非常にやりがいを感じます。

入社間もない頃は処方が確立されているテーマや比較的量産段階に近いテーマを担当しながら仕事を覚えました。一通り経験を積んだ現在では7〜8件の開発テーマを並⾏して担当しています。

Y.O.様

新たな技術を加えた製剤の開発に携わる

業務に慣れた頃、新たな技術を加えた製剤の開発を行いました。当時、製剤に使用している原体の安定性が課題となっており、私のミッションはこれを解決することでした。担当になった時点で原体を細かくすれば安定性が増すことがすでに分かっており、幸いにもマイクロレベルからナノレベルへのサイズダウンは比較的スムーズに達成できました。 一方で、処方とスケールアップの検討は大変でした。

製剤の開発は処方の検討・確立を2年程度で行い、その後スケールアップを行います。しかし新たな技術を加えることが決まったのは開発が始まって2年目に入った頃。また、新しい技術を取り込むことから、スケールアップのデータを処方検討の時点で報告に織り込み、検討した処方でのスケールアップが問題ないことを関係者に示す必要がありました。これを通常の半分の期間で行わなければならなかったのです。

プロジェクトを通じて、仕事に対する意識が変わった

開発を進める際に特に気を遣ったのは、スケジュールを組むこと。開発は一人で行うものではありません。そのため、自分がいつまでに何をすべきかを考えることはもちろん、周囲の人から協力を得るための段取りを組む必要もありました。ましてや残り時間が短い中でのプロジェクト進行ですから、ここを間違えては大変です。関係者にどのようなデータを示し、何をどう依頼するべきか、自分で考えた案を持って何度も上司や先輩に相談しました。

当然、焦りや緊張感はありましたが、「この処方が上手くいけば自分が考えたものが上市される」という期待感の方が遥かに大きく、楽しかったです。先輩によるマンツーマンの指導の下、きめ細やかにフォローしてもらえたことで安心感があったのも楽しめた要因の一つだと思います。

プロジェクトが終わる頃にはそれまで自分がどこか新人意識を持っていたり、当事者意識が薄かったりと仕事への向き合い方に甘えがあったことに気がつきました。こうした気づきを得ながら進めた先で上市までやりきった際に、「主体的に動くとはこういうことか」と腹落ちした感覚は今でも覚えていますね。新人気分が抜けていなかった自分のマインドセットが変わるきっかけとなった、良い経験だったと思います。

中と外、両面で「より良い製品」を作りたい

今後はより包括的に製品開発に関わっていきたいと考えています。製剤の開発というと効能や特徴など中身にフォーカスされがちですが、実はその包装体も大切な開発対象です。現在、農薬の容器は樹脂ボトルが主流ですが、プラスチック削減などSDGsの観点ではシャンプーなどの詰め替え用に使われているようなパウチの方が望ましいです。

自社ではすでに実際の使用場面を想定し、農薬をパウチに⼊れて散布したり、使いやすさを確認する実験なども行っています。まだ試行錯誤している段階ですが、きちんと成果を上げて、環境にやさしい包装体で製品を世の中に送り出したい。中身だけではなく、外身も含めてより良い製品を作る。これが私の次のチャレンジですね。