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研究開発の最終工程を担い、
新しい製品を世に送り出す

研究開発本部 登録部 
国内グループ
T.K.
理学研究科 化学専攻 修士課程修了
2009年入社

研究開発の最終工程を担い、
新しい製品を世に送り出す

研究のバックグラウンドを持つ私が
「登録」という仕事に興味を持ったきっかけ

私は学生時代に天然物の全合成研究をしており、卒業後は有機合成の技術を活かして新しいモノづくりをしたいと考えていました。また、美味しいものが好きで食に興味がありました。その2つが重なる分野として農薬業界を志望し、研究職として入社しました。 長期的にも研究に関わりたいという想いはずっとありました。現在は自身で直接実験する立場ではありませんが、異なる形で研究開発に関わっていけるのは良い点だと感じています。

登録部への異動は、新規有効成分の選抜時に「登録性」という観点を知ったことがきっかけです。当時、共同開発パートナーとの開発会議に、当社の合成チームは3つの候補化合物を提案していました。いずれも社内基準をクリアした化合物でしたが、中でも最も活性の高い化合物が選ばれるだろうと予測していました。しかし最終的に選抜された化合物は、私たちの予想とは異なるものでした。上司から会議の結果を聞いて驚き、選抜の決め手となった「登録性」への興味を持ちました。登録性とは、農薬の安全性を総合的に評価し、目的とする国や地域で登録取得できる見込みを意味します。当社で新しいモノを生み出すためには登録を知らなければならないと痛感し、異動を希望して今に至ります。

登録部へ異動し、『登録業務は高い専門性と緻密さを求められる仕事』であると感じました。当社の農薬製品は日本で登録されているもので約300剤、海外向け農薬を含めるとそれ以上ですが、それら一つ一つについて、法律で定められた試験成績や書類を揃えて関係当局へ申請し、登録を取得する必要があります。慣れてしまえばある程度は定型的に行える業務もありますが、一連の流れと関連法規を理解することが第一歩として重要です。

新規有効成分を含む農薬の申請は数年に1回ですが、当社の社運を賭けるため非常に大掛かりなプロジェクトになります。研究所が見出した新規有効成分について、膨大なコストをかけて数百もの試験を行い、有効成分の安全性、毒性、残留性、環境中の挙動及び影響を評価します。全ての試験データを漏れなく揃え、申請書類を取りまとめて当局へ提出するには、登録法規に精通し、確実な登録戦略を立案し完遂する能力が不可欠です。

登録業務の根幹にあるものは法律です。前提として、農薬はどの国・地域でも順守するべき法律や規制があり、有効性と安全性を確認するための様々な試験を要求されます。国ごとに異なる法規があるうえ、科学技術の進歩や安全性に対する意識の変化に応じて法規が改正されることも少なくありません。国内外の最新法規を常に把握することは非常に大変ですが、当社が農薬ビジネスをグローバルに進めていくためには必要なことです。研究者が常に最先端の技術を学ぶように、私も最新の法規を学ぶ姿勢を大切にしています。

T.K.様

様々な人と関わりながら法的要件を
クリアしていく重要な仕事

登録部は様々な関係者と協業する機会が多々あります。例えば新規有効成分の創出では、候補化合物の構造や作用機作、毒性データ等から登録性を検討し、研究所にフィードバックしています。安全性の高い農薬を創出するため、登録部も開発の初期段階から開発会議に参加します。このように最新の研究内容に触れられることも、研究出身としては嬉しく思います。
開発ステージが進むと、マーケティングや営業部門、会社上層部との調整が増えます。新製品の開発初期から製品化判断を経て、登録取得までの農薬開発全体を俯瞰で捉えることができ、会社における意思決定の分岐や方針決定の仕組みを理解できます。

社外の関係機関とのコミュニケーションも不可欠です。登録部には、農薬行政を管轄する省庁の担当者と直接折衝する場面が多くあります。規制を作り、守る側の見解を聞くことで、行政の意図や今後求められる農薬像を知ることができます。同業他社や試験委託機関との情報交換のほか、業界団体であるクロップライフジャパンでの活動を通じて国際会議へ参加することもあります。当社の農薬が会議で審議された時は、各国代表からのコメントを通じて世界の農業事情や食文化の違いを肌で感じることができました。

研究開発を俯瞰しながら最後のゴールを決めていく仕事。
一緒に働く仲間を求めています。

私は、研究開発の最後の工程にいる登録部員として、関係者の頑張りを形にする責任があると考えて業務にあたっています。登録部に託された開発品は多くの関係者の努力の結晶であり、社内の大きな期待を背負っています。無事に登録を取得し、新製品として送り出せたときには安堵しますし、達成感を得られます。

この仕事に向いている人の特徴を挙げるとしたら、責任感があり、それぞれの農薬に当事者意識を持って取り組める人だと思います。法律が改正されたときなど壁に当たる機会は多いですが、何とか進めようと諦めない気持ち、常に前進しようとする思いが大切です。広い意味での研究開発に関わり続けたいという人には、登録の仕事は合うと思います。ぜひ一緒に働けることを楽しみにしています。