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高度な専門性を求められる登録業務は
クリエイティブ

研究開発本部 登録部 
国内グループ
R.K.
農学部 農学科卒業
2004年入社

高度な専門性を求められる登録業務は
クリエイティブ

夢中で基礎を身につけた新人時代

農薬を製造・販売するためには、農林水産省から「農薬登録」の許認可を受けることが必要です。対象となる農作物と病害虫に対する農薬の有効性、環境や生態系、人体に対する安全性を膨大な試験データで示し、関係当局の審査やその過程における当局担当官との綿密なやり取りを経て、農薬の使用量、希釈倍数、使用時期、使用回数などの用法を規定し、ようやく「農薬」として登録認可されます。登録申請には新しい農薬の「新規申請」、既存の農薬製品を新しい農作物や病害虫などに使用できるようにする「適用拡大申請」、既に登録されている農薬を有効成分ごとに15年ごとに最新の科学的知見に基づいて再評価し許認可を更新する「再評価申請」などがあります。

私は、農薬のガイドラインが改訂され、再登録申請※に必要な申請書類が大幅に増えた時期に入社しました。当時の先輩方はこの業務の他、新規申請や適用拡大申請等さまざまな業務を行なうというハードな日々を送っていました。
新人の私は先輩方のサポートに入り、わからないことを質問しながら見よう見まねで仕事をしました。3年後に全農薬製品の再登録申請が終わった頃には、当社の登録農薬についてひととおり理解できるようになっていました。

※既登録農薬の許認可を3年ごとに更新するための申請制度。現在は「再評価申請」へ変更となっている。

R.K.様

総合力を求められる極めて専門性の高い仕事

その後も、主に農薬製品の登録申請を担当してきました。登録申請は事務的な仕事というイメージを持たれるかもしれませんが、申請書類の作成だけではなく、案件に応じて戦略を立て、関連部署の意見を取りまとめながら推進していく、ダイナミックでクリエイティブな仕事であると思います。
開発部から出される新規農薬製剤の開発コンセプトを受け、対象とする農作物や病害虫の対象範囲等を開発部と協議します。その上で、対象範囲によって登録取得までのリードタイムがどれくらい変わり、売上がどう変わるかを営業部と検討するなど、様々な社内の部署と連携しながら、登録申請の戦略を考えていきます。

また、審査を行う独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)、農林水産省等のさまざまな関係当局や、安全性評価試験を委託する外部試験機関の担当者とのコミュニケーションも非常に重要となります。
特に、想定される当局からの質問や要求を予測して試験を必要十分に準備し、ストーリーを組み立てているかどうかで、登録取得までのリードタイムが大きく変わります。
このように、登録は高度な知識と経験とともに戦略思考力やコミュニケーションスキルなどを総合的に求められる、極めて専門性の高い仕事といえます。

前例のない高難度の審査を関係部署と連携して乗り切る

ある製剤では、前例のない適用拡大申請があり、特に難易度が高いと感じました。前例がないと当局はより審査に慎重になりますので、農作物に対する多くの効果試験データ等を取得したり、当局に納得してもらえるような説明を検討したりする必要がありました。社内の開発部や営業部、研究所と協議しながら試験計画を立て、当局の担当者と何度も話し合いを重ねながら多くの試験を行いました。また、申請内容等に対して当局からコメントが出た際は社内で協議の上回答し、その回答に対して追加コメントが出たら社内で協議の上回答し、ということを繰り返し、適用拡大申請の要望が出てから4年半の歳月を経て登録許認可に漕ぎつけることができました。
関連部署と連携しながら新たな道を切り拓き登録を取得でき、大きな手ごたえと達成感を得ました。

組織としてナレッジの継承が必要

私は、これまで約20年に渡り担当してきた農薬登録業務を通じて、知識、経験、ノウハウを培うことができました。また、登録部内で共有された膨大な知識、ノウハウをもとに農薬登録を迅速かつ効果的に推進する経験知(ナレッジ)も向上させることができたと自負しています。

経験に裏打ちされた高度な専門性が必要となる仕事なだけに、ナレッジは個々人に蓄積されていきますが、会社・組織として登録のパフォーマンスを向上させていくためには、ナレッジの共有が必要です。今後は、自分のミッションを達成していくだけでなく、次世代の育成も視野に、ナレッジの継承も必要と考えています。