福島県西白河郡矢吹町のトマト
第10回放送分
福島県西白河郡矢吹町のトマト「松谷 隆」編 日本一うまくないと言われた反骨心

水を極力やらないことで、トマト本来の甘味を引き出す
福島県は中通りに位置する、矢吹町。この地で30年にわたってフルーツトマトを生産する松谷隆さん。今にも雪が降り出しそうな1月、共に歩んできた妻、美江子さんと真っ赤に輝くトマトの収穫です。


「いいトマトだなぁ。俺の大好きなトマトだ」。
松谷さんのトマトは、土を使わない溶液栽培。基本的な温度や養水分は機械で制御しています。

このシステムを導入した当初、松谷さんの元へ市場から衝撃的な声が届きました。
“日本一うまくないトマト”
「その話を聞いたときはかなりショックでした。じゃあ、どうしたらうまくなるかと考えました」。


思い悩みつつも収穫に追われる中、あることを発見します。
「あまり水をやらなかったら、たまたまうまいトマトができたんです。だったら水をあげなくていいんじゃないかと思いました」。
「養水分を極力減らし、トマト本来の力で甘みを生み出す」。
ヒントを得た松谷さんは枯れるギリギリのところを見極めながら、栽培を始めました。

「枯れれば終わりです。どのあたりで水をやったらいいかを見極めるのが一番難しかったですね」。
「いろいろ実験しながら、毎年一番うまいトマトがどうしたらうまくとれるか挑戦を重ねています」。
試行錯誤の末、高い糖度をもつトマトが実るようになり、糖度9度を超えるものは「旬太郎トマト」としてブランド化。同じ栽培方法の仲間とよりよいトマトを追及しています。


「100%うまくできた、ということはないですから。だから農家というのは面白いと思うんですよね」。
おいしいトマトの食べ方
松谷さん自慢のトマトをいただきます。
1.トマトサラダ
甘味をダイレクトに感じられるサラダが一番のおすすめ。

2.トマトピザ
スライストマトを生地にしたピザは、加熱することで甘味がさらに際立ち、チーズとの相性も抜群。

3.鶏と野菜のトマト煮
鶏肉と野菜をトマトで煮込んだ「鶏と野菜のトマト煮」は、ほどよい酸味がクセになるおいしさです。

農業に対する想い
旬味を作り出す、松谷さんの想いとは?
「日本一うまくないトマトをやっとここまでおいしくできました。農家をやっている以上は最後まで勉強してうまいトマトを作っていきたいです」。
