SDGsに化学の力で貢献する三井化学クロップ&ライフソリューション

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2030年までに解決すべき国際的な課題とゴールを定めた世界共通の目標です。2015年に開催された国連サミットにて全会一致で採択され、世界各国がその実現に向けて取り組んでいます。

三井化学クロップ&ライフソリューションは、「『食の安全と信頼性』『生活の質の向上』に対応した高品質の製品とサービスをお客様に提供、貢献することを通じて社会的責任を果たす」「地球環境との調和を図り、企業市民としての自覚のもとに社会から信頼される企業を目指す」ことを経営理念に掲げ、事業を通じて世界の課題解決に取り組み、求められる価値を提供し続けてきました。今後も、持続可能な社会の実現に不可欠な存在となることを目指し、SDGsの達成に貢献していきます。

SDGsの達成に向けた三井化学クロップ&ライフソリューションの取り組み

SDGsは、2015年の国連サミットにおいて全ての加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられました。2030年を達成年限とし、17のゴールと169のターゲットから構成されています。

SDGsのゴールの達成に貢献するため、当社が重点的に取り組んでいる主な活動を紹介します。

三井化学クロップ&ライフソリューションが取り組むSDGsのゴールと事業対象

農業を振興し、貧困と飢餓の撲滅に貢献

当社は、主要事業である農薬の開発と販売を通じ、世界の貧困と飢餓の撲滅に貢献します。

世界では、1日あたり1.90米ドル以下という極度の貧困状態で暮らしている人が約7.1億人います(※3)。国際連合人口基金(UNFPA)によると世界人口は約78.8億人(※4)ですので、世界の10人に1人が貧困状態で暮らしている計算になります。

また、ユニセフによる2020年の発表によると、世界の飢餓人口の推定数は6.9億人であり、特にアフリカの人口の19.1%が栄養不良になっています(※5)

このような貧困や飢餓の課題を解決するためには、農作物の安定的な生産が必要です。さらに、効率的で安定した農業生産のためには農薬の使用は不可欠です。また、私たちが開発・販売する農薬を使い農作物の生産を高効率かつ安定的に行うことで、農業が産業として確立されます。その結果、農業に従事する人の雇用確保につながり、その土地での地産地消を進めることもできます。

当社は農作物の生産効率の向上を支援し、農業を振興することで、持続可能な食料生産に貢献していきます。

世界中の人々を感染症から守る

当社は、害虫駆除を目指すライフソリューション事業を通じ、世界中の人々の健康に貢献します。

ライフソリューション事業は、農薬開発の知見を活かし、人の安全を脅かす害虫を駆除することを目指しています。

たとえば、熱帯を中心に広く世界中に分布する「ハマダラカ」。マラリアを媒介し、毎年世界中の多くの命を奪っています。2018年では1年間に約2.2億人が感染し、推計43.5万人が死亡しています(※6)。しかしハマダラカは既存の殺虫剤に耐性を持つものも報告されており、殺虫剤での駆除が難しくなっているという問題がありました。

私たちは、蚊への高い殺虫効果と新規作用性の2つを持ち合わせる殺虫剤原体「テネベナール」の開発に成功しました (研究開発ストーリー テネベナール )。テネベナールは既存の殺虫剤とは異なる殺虫効果を持つため、既存の殺虫剤に抵抗性を持つハマダラカや他の害虫にも高い殺虫効果を示します。

そして現在、テネベナールは非営利団体IVCC(※7)により薬剤抵抗性を持つマラリア蚊の防除に有望な化合物であることが認められ、製品化が進められています。当社はIVCCの提唱する「ZERO by 40(※8)」の理念に賛同し、テネベナール製品の開発と提供でこれからのマラリア対策に貢献していきます。

    当社は感染症から人々を守ることで、健康や福祉を支える快適な生活環境づくりに貢献しています。

    パートナーとともに取り組む社会貢献

    当社は、様々な団体とパートナーシップを結び、社会貢献活動に取り組んでいます。

    「生き物と共生した米づくり」についての教育機会

    当社は雑草や害虫の駆除を行うための農薬や殺虫剤を開発していますが、目指す姿は人間と動植物との共生です。

    人が生きるための食物を育てている場所で、どのように動植物も一緒に生きているのかを体験し、理解するために、子どもたちや消費者、JA、農業生産者の方々とともに田んぼに入り、生き物調査を行っています。(「田んぼの生きもの調査」おうえん隊 ) 。

    この活動を通して食や環境について考える機会を提供することで、共生や持続可能性について当社も深く学んでいきたいと考えています。

    災害被災地への支援活動

    三井化学グループは、災害発生時に自治体やNGO等と連携した災害支援を行っています。たとえば2019年の大雨災害では、九州北部や千葉県などの被災地に支援物資を提供。

    当社は三井化学グループの一員として、災害被災地への支援活動に積極的に参加しています。

    国際植物防疫年2020のオフィシャルサポーター

    国際植物防疫年2020とは、農林水産省が主体となり、企業、団体等の多様な関係者が協力して植物防疫を周知、再認識するプロモーション活動です。当社は、国際植物防疫年2020オフィシャルサポーターとして活動しました。

    国連食糧農業機関によると、世界の食料のうち80%以上が植物由来であり、このうち20%~40%が病害虫の被害で失われているとされています(※9)

    植物病害虫の新たな地域へのまん延を防止し、農家の生産活動を守るために、当社は防疫の重要性に関する普及啓発活動を支援しています。

    国際化学オリンピック日本大会のスポンサー

    国際化学オリンピックは、世界中の高校生が化学の知識や想像力を駆使し、化学の実力を競う国際的イベントで、2021年には日本で第53回大会が開催されました。

    当社は、次世代を担う人材の育成に貢献する本大会の運営をスポンサーとして支援し、日本を始め世界中の方々に化学への興味や理解を深めていただく活動をサポートしています。

    事業と社会貢献活動を通じ課題解決を目指す

    SDGsへの取り組みは、世界のあらゆる人や組織が意識する時代になりました。当社でも、サステナブルな食と生活に貢献するソリューションを実現すべく、研究開発に邁進しています。
    例えば目標2「飢餓をゼロに」では、「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養の改善を実現し、持続可能な農業を促進する」を目標としています。「増え続ける人口」、「限りある資源・農地・水」、「激化する気候変動」という状況下において、人と環境の安全を保ちながら効率よく食料を確保する必要があります。
    当社は様々な環境指標(ミツバチなどの訪花昆虫への影響など)に対する安全性の確認を開発初期から取り組むよう意識したり、これまでの経験(微生物代謝物の農薬への応用など)を生かした天然由来成分を活用したり、新たな作物保護ソリューションの創出に挑戦しています。また、薬剤抵抗性を持つ雑草対策を念頭に、新規作用性を持つ農薬を創製することにも注力しています。
    目標3「すべての人に健康と福祉を」では、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」を目標としています。私たちの生活がより快適で良いものになるように、農薬有効成分を衛生害虫防除やシロアリ防除などに応用展開してきました。
    さらに当社の新たなチャレンジとして、農薬向け開発とマラリア対策のベクターコントロール向け開発を並行して実施しています。安全な農薬のポテンシャルを他のカテゴリーに応用できるように、様々な可能性を見逃さないよう意識して研究開発を行っています。

    取締役専務執行役員 社長補佐 兼 CCO 小國浩一

    三井化学クロップ&ライフソリューションは事業とCSRの活動を通じ、持続可能な社会を実現するために、これからも世界的な問題の解決に向けて取り組んでまいります。