「田んぼのいきもの調査」おうえん隊
三井化学クロップ&ライフソリューションの企業理念「環境安全」に対応した「高品質の製品サービスをお客様に提供、貢献することを通じて社会に責任を果たす」取り組みとして「田んぼのいきもの調査おうえん隊」を結成。農薬販売をするだけではなく、JA、農業生産法人、農家、消費者の方々と田んぼに入り、生きもの調査を体験しながら、これからの農業や食、環境について真剣に考えていこうという取り組みを紹介していきます。
(2023年3月31日付で三井化学アグロは三井化学クロップ&ライフソリューションに社名変更いたしました。過去の取り組みは旧社名のままでご紹介しています。)
2019年
「田んぼのいきもの調査」を小学生とともに実施
~生物多様性に配慮した米作り~
田んぼの生きもの調査 鶴巣小学校
開催日:2019年6月11日
場所:宮城県黒川郡大和町
参加者数:35名
田んぼの生きもの調査 上愛子小学校、作並小学校、大倉小学校
開催日:2019年6月20日
場所:宮城県仙台市
参加者数:22名
大和町立鶴巣小学校の3年生が参加した田んぼのいきもの調査は、JAあさひな(宮城県黒川郡大和町)が主催し、文部科学省が推進する地域学校協働活動※の一環として、地域コーディネーター、教職員、JA全農の方々に三井化学アグロの仙台支店等が協力して、2015年から毎年実施しています。
一方、仙台市立上愛子小学校、作並小学校、大倉小学校の3・4年生が参加した田んぼのいきもの調査は、元東北大学サイエンスコーディネーターの石垣富一郎氏の呼びかけに応じ、三井化学アグロの仙台支店等が協力して初めて開催されました。
参加した子供たちは「田んぼの周りには、いろいろな生きものがいました」、「家のうらの田んぼでも、いろいろな生きものを調べたり採ったりしたい」と楽しかった様子で、教職員の方からも「こんなにたくさんの種類の生きものがいる事に驚いている」との声が聞かれ、生物多様性に配慮した米作りを学び、三井化学アグロの取組に理解を深めていただく機会にもなりました。
三井化学アグロは、農薬を販売するだけではなく、農業生産者、消費者の方々とともに、田んぼのいきもの調査を体験しながら、食や生物多様性について考える機会を提供する活動を2012年から実施しています。田んぼの生きもの調査の結果をまとめた「鑑定書」を発行することで、多様な生きものと共存しながら作られた米であることを証明し、地域の米の付加価値向上も支援しています。今後も、子供たちへの学習機会提供、食糧生産の向上への取組を通じて、社会課題の解決に貢献していきます。
- 地域学校協働活動:地域の高齢者、成人、学生、保護者、PTA、NPO、民間企業、団体・機関等の幅広い地域住民等の参画を得て、地域全体で子供たちの学びや成長を支えるとともに、地域と学校が相互にパートナーとして連携・協働して行う様々な活動。
以上
2018年
大和町立鶴巣小との恒例の“田んぼのいきもの調査”が4年目に
当初心配した台風がそれて曇り空の下、すっかり恒例になった鶴巣小との「田んぼのいきもの調査」を今年もJAあさひな管内水田で実施しました。
まずはJAあさひな文屋さんの司会で渡辺米穀課長から開会のごあいさつ。ユーモアいっぱいの楽しいお話で今年の「田んぼの生きもの調査」がスタートしました。
鶴巣小3年生は今年10名と、昨年に比べて少し少なかったものの、ちょっぴり緊張した集合写真の撮影が終わるや否や元気いっぱい田んぼの中を歩き回って、今年から準絶滅危惧種に指定されたドジョウをはじめ、おなじみのカエルやザリガニなどたくさんの生きものを採りまくりました。
また、今年は弊社前社長の谷も初参加でかなり気合が入ったのか、いままで一度も採れたことがなかったミズカマキリを初めて採集し、思わずガッツポーズ。
テントの中で行われた「いきもの教室」は最初から最後まで質問攻めで、講師もタジタジとなりました。
どろんこになった楽しい「田んぼのいきもの調査」もあっという間に終了。最後に鶴巣小の渡邊校長先生より、学校環境教育への協力に対する感謝の言葉をいただき、3年生10名は元気に帰校して今年の「田んぼのいきもの調査」が幕を閉じました。
弊社は、農薬を販売するだけではなく、多様な生きものが居る田んぼで米づくりが行われていることを多くの方々に知っていただき、これからの農業、食や環境について考える機会を提供して行きたいとの思いを強くした1日でした。
2017年
カタールサイエンスキャンパス体験型科学教室で「田んぼのいきもの調査」を実施!!
東北大学カタールサイエンスキャンパスでは「体験型科学教室」での初めての試みとして「田んぼのいきもの調査」を企画し、JA仙台、三井化学アグロの協力の下実施しました。
場所は仙台市根白石地区、冬にはスキーもできる泉ヶ岳の麓に位置する水田です。
宮城県内から抽選により参加した小学校1~4年生児童と保護者の方々合計44名が網と水槽を持って一斉に水田に入り、生きものを採集しました。最初は田んぼの中に入るのをためらっていた子も、コツをつかんだ後は積極的に生きものを捕まえ、歓喜の声を挙げていました。カエル、ドジョウ、貝、アメンボ、クモなど、日頃あまりじっくり見る事がない生きもの達との触れあいを精一杯楽しみました。
50分程の採集時間でしたが、「ええっ?もう終わりなの?」、「もっと採っていたい!」などとても楽しい時間が過ごせた様子が伝わりました。
水路や水道で足を洗った後は、室内で水田環境鑑定士による「いきもの教室」です。
お米の話に始まり、田んぼの生きものの食べ物、息の仕方、すがたの違いなど、いろいろな生きものが居ることの大切さを勉強しました。前日、スタッフで採集しておいた生きものにも興味深く見入っていました。
また、児童からの質問も多く出て、とても盛り上がったひと時でした。
楽しいお弁当の時間が終わったあとは、JA仙台西部営農センターの職員の方からカントリーエレベーターや農業機械の説明をいただき、帰路につきました。
東北大学からはサイエンスコーディネーターの石垣先生始め、大学職員、学生の方々、カタールサイエンスキャンパス事務局、JA仙台の職員の方々、写真撮影の専門家、三井化学アグロ職員の総勢60名余りが協力し、事故もなく、盛会裏に終了しました。
飼育してみたいと持ち帰った生きもの達は元気ですか?
今年も小学生といっしょにいきもの調査を実施しました!!
(JAあさひなで宮城県大和町立鶴巣小学校を招いての生き物調査)
今年も宮城県大和町立鶴巣小3年の児童を迎えて、鶴巣小学校地域コーディネーター、JAあさひな職員、三井化学アグロ職員がいっしょに「田んぼのいきもの調査」を実施しました。同小学校児童との調査は今年で3年目となり、すっかり恒例行事のようになりました。
晴れて風も弱く、絶好の「田んぼのいきもの調査」日和。人気者のカエルやオタマジャクシ、ザリガニなどが採れて、田んぼのあちらこちらから歓声が上がりました。
田んぼの主である、大きなアオダイショウまでも顔を出して、みんなびっくり。
今年は低温気味に経過したため、事前調査で生きものが少なくて心配しましたが、当日は気温も上がり、児童たちの熱気につられて(?)いろいろな生きものたちが出てきたようです。
鶴巣小学校では、長年にわたって地域と学校の連携(協働教育)を行っており、平成28年度の『「地域学校協働活動」推進に関わる文部科学大臣表彰』を受賞しました。この賞は地域コーディネータの方や地域ボランティアの方が鶴巣小学校や放課後子ども教室など、教育活動の充実に取り組んでいる事が他の模範になるとして表彰されるもので、夢たんぼ、そば作り、校庭整備、交通安全教室、「田んぼの生きもの調査」などの行事が地域の方とふれあい、親睦を深め、郷土を愛する心を育む活動として認められたものです(→鶴巣小学校Webサイトはこちら )
「田んぼの生きもの調査」が地域にも、教育にも役立つと認められたことは本当にうれしく思います。
当日の様子は新聞記事にも掲載されました。
全国農業新聞 農業共済新聞
2016年
日本橋本社から文部科学省に出張展示
(7月28日に子ども霞が関見学デーに田んぼの生きものを展示)
生き物の説明に食い入るように耳を傾ける親子連れ
7月27日、本社15階の受付フロアーに展示してある水槽の掃除と生き物の移動準備が始まった。
これは田んぼの生きものの生態を知ってもらおうと、昨年から文部科学省主催の「子ども霞が関見学デー」に「田んぼのいきもの調査」と称して水生生物を出展するための準備。
今年は昨年出展できなかった「タガメ、マツモムシの水槽」をはじめ「メダカ、タイリクバラタナゴ、ドジョウ、カワヨシノボリ、クロゲンゴロウの水槽」「ゲンゴロウ、コシマゲンゴロウ、ヒメガムシトウキョウダルマガエル、ヌマガエル、アカハライモリの水槽」「アメリカザリガニの水槽」を用意し、当日(28日)に臨んだ。
タガメは5月に栃木県下で、アメリカザリガニ、マツモムシは7月に千葉県下で参観デーのために新たに採集してきたもので、その他は昨年の展示から大切に飼育してきたもの。
当日がやってきた。「田んぼの生きものを展示しています。」とスタッフが声をかけると親子連れが大勢集まってきた。じっと水槽を見つめる子供たち。「このカエルは模型ですか?」
カエル、アカハライモリの水槽
マルタニシ、タイリクバラタナゴ、
ドジョウなどが入った水槽
水槽を軽くたたくとカエルがジャンプ。目の前にジャンプしてきたカエルに驚く人たち。アカハライモリも見たことがないらしく、一生懸命に探す。タガメは注目度ナンバーワンで、大きさに驚く一方、「何を食べているんですか?」「どうやって呼吸をしているんですか?」など、見たこともない生き物に大人からも質問が相次いだ。
注目度ナンバーワンだったタガメ
クロメダカを観察していた女の子は「これは絶滅危惧種の生き物で、全国で数が激減している。」と、スタッフ顔負けの話をする子も現れた。
終わりに、水槽を観察して子ども達が書いてくれた感想を一部紹介します。「タガメが木の下にぶら下がっていました。凄いとおもいました。」「ヨシノボリ、コオイムシ、マルタニシなど、ふだん見ない生き物や珍しい生きものを見れて良かった。」「マルタニシがかなり大きかったのでびっくりしました。」「カエルがなかまを食べてしまうことを知り驚きました。」「シジミが川にいるなんてビックリしました。」「アカハライモリを見つけるのが大変だった。」「カエルがかわいかったです。模型みたいでした。」など。
水槽を観察した子供たちが書いた感想文の一部
畦際調査で19種類もの生きもの確認
(千葉県山武市富口資源保存会)
水田環境鑑定士から生き物の採り方の説明を受ける参加者たち
「みなさん、これから田んぼの生きものの採集方法を説明します」。子ども18名、大人12名が弊社水田環境鑑定士を取り囲むように耳を傾ける。これは7月30日(土曜日)、千葉県山武市富口資源保存会と協賛して実施した田んぼの生きもの調査の一場面。説明後、大小様々な網を手に持ち、畦畔から生き物を採集した。
通常の生き物調査は、田植え後3週間から1か月以内に行うことが多い。これは田んぼの水温が上がって、水生生物が繁殖・増殖し、様々な生きものが食べ物を求めて田んぼに集まる時期で、観察・採集に最適なためだ。この時期を過ぎると水田の水を一度落してしまうため、極端に水田の生き物は減る。
それを考えると今回の生き物調査は大変遅い時期にあたり、オタマジャクシやヤゴなどはそれぞれカエルやトンボとなり、すでにいない時期。調査対象の水田は水を落してないとはいうものの、網を入れるまでは心配だった。また、稲の花が咲き始めており、田んぼの中での調査は断念し、畦畔からの採集となった。
炎天下の中調査スタート。「網を入れて手前に引き寄せながらすくい上げてください。」一斉に参加者が網を入れてすくい上げる。すると「何かいる」と網の中を覗き込む。付き添いのお母さんが気持ち悪そうにこれ何ですかと質問。確認すると「コオイムシの若齢虫」「ヒメゲンゴロウ」が数匹入っており、「なかなか採れない水生昆虫です」と回答。「えっ、そうなの」と驚いた様子で一生懸命すくいはじめた。
その様子を見ていた他の親子も懸命に採った結果、「ヒメゲンゴロウ」「コオイムシの成体(オス・卵を背中に背負う)」「ギンヤンマのヤゴ」「イトトンボのヤゴ」「マルタニシ」「ドジョウ」「スジエビ」等を手に入れて、歓声が上がった。
終了後は、全員で公民館に移動。水田環境鑑定士が今回一番多く採集できた「ヒメゲンゴロウ」「コオイムシ」ついては配布した生きもの図鑑を使って、また、今回採集できなかった「アメリカザリガニ」「ニホンアマガエル」はパネルを使って冗談を織り交ぜながら生態説明。最後にギンヤンマの顎が長く伸びる様子を見て驚いていた。
コオイムシ♂
ヒメゲンゴロウ
開催にご協力していただいた宇津木裕幸さんは「参加した子供たちは一生懸命に生きものを採って楽しんでいた。水田にこんなに多くの生き物がいることがわかって大変勉強になったと思う」と話していた。調査の結果、19種類の生きものが確認できた。
田んぼの生きもの調査結果
環形動物 |
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貝類 |
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クモ類 |
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甲殻類 |
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昆虫類 |
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魚類 |
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田んぼの生態系を実感
(千葉県東金市)
鈴木さんの圃場で生きもの調査をする参加者
6月8日、千葉県東金市の「ファームライスもとごや」(鈴木正昭代表)で、水田環境鑑定士、水稲農家、農機販売メーカー、農薬・肥糧小売店も参加して一昨年に引き続き第2回目の生きもの調査が実施された。鈴木さんは毎年水稲のカメムシ防除に殺虫剤としてスタークル液剤10を使用。一昨年の調査では「46種類」の生き物を確認。「今回は何種類の生きものが採集できるか楽しみ」と話していた。
鈴木さん
水田環境鑑定士から採集方法の説明を受けた後、田圃、水路、畦畔での採集を開始。田んぼではハイイロゲンゴロウ、マツモムシ、ニホンアカガエルなどを捕獲。水路ではドジョウの他に「カワヨシノボリ」を捕獲。あまり見かけない魚に採集者から「なんという魚ですか」と質問。
畦畔ではアオダイショウを見つけたと大きな声が。網ですんなり捕まえると「凄い」「最近では珍しい」「気持ち悪い」など、本日の話題生物となった。
ドジョウ㊤とカワヨシノボリ
ニホンアカガエル
採集した生きものを鈴木さん宅に持ち帰り、水田環境鑑定士が種類分け。それを取り囲むように参加者は図鑑を手に生きものを確認していた。
鈴木さんは「一昨年以来の調査となりました。今回も思った以上に色んな生物が生態系を作っているのだと実感しました。農薬や化学肥料も進歩しており、環境負荷の少ない資材が増えている事は生産者として持続可能な営農をしていく上では大変助けになります。生物多様性のある圃場で、元気なお米をこれからも作っていきたいと思います」と締めくくった。調査の結果、39種類の生きものが確認できた。
アメリカザリガニが人気の的に
(宮城県JAあさひなで地元小学校を招いて生きもの調査)
6月13日、「小学校の子ども達に田んぼの生きものをたくさん見せてあげたい」と、JAあさひな(宮城県黒川郡大和町)の職員と三井化学アグロ株式会社の職員が一緒に山場の環境保全米圃場で生きものを採集した。
これは昨年からJAあさひなが地元の大和町立鶴巣小学校の3年生を招いて開催している「田んぼの生きもの調査」の際に、平場の水田では見られない生きものを観察してもらうために採集。田んぼでは「マツモムシ」「コオイムシ」「ガムシ」「ヒメゲンゴロウ」「ヤマアカガエル」「ツチガエル」「トウキョウダルマガエル」などが、水路では「ドジョウ」「カワニナ」、大変珍しい「オニヤンマ(ヤゴ)」など34種類の生きものが採集できた。採集した生きものはJAあさひなの事務所に持ち帰り、種名シールを貼り付けたプラスチックカップに入れて翌日の本番に備えた。
鶴巣小学校の児童14名、引率の先生、関係者みんなで記念撮影
6月14日、鶴巣小学校の児童14名を招いての「田んぼの生きもの調査」本番。引率の先生と地域コーディネーターの方々に引率されて児童がやってきた。「おはようございます。今日はよろしくお願いします」と児童が元気よく挨拶。さっそく採集用の網と小型の水槽、生き物図鑑を各自に配り、採り方説明を弊社水田環境鑑定士が行った。いざ田んぼへ。
4班に分かれて裸足になって入って行く。「冷たい」「ヌルっとして気持ち悪い」と児童たち。最初はこの感触に戸惑い、生き物をすぐ見つけることができない様子だ。一緒に入った関係者が「そこにいるよ」「こうやって捕まえるんだよ」とアドバイス=写真左=。すると目が慣れてきて、おぼつかなかった足取りもしっかりしだし、「アメリカザリガニ捕まえた」「ヤゴ捕まえた」の声が上がった。中でもアメリカザリガニが人気の的だ。水路に沢山いることがわかるとみんな水路に大集合。そこに撮影用のカメラが来るとみんな満面の笑みで手を振っていた。
終了時間が来た。「これで生きもの調査は終わりです。みんな戻ってきてください」と掛け声をかけても必死になって捕っている子が多かった。
続いて田んぼの前に設置されたテントで水田環境鑑定士による「あおぞら教室」を開催。「今日捕まえた生き物で何が一番好きですか」と質問すると「アメリカザリガニ」との回答。アメリカザリガニの雄、雌の見分け方から話が始まり、ニホンアマガエル、タニシの生態などをパネルと実物を手に取り、解説。
みんな覗き込むように見ていた。あおぞら教室終了後は、展示された生きものに目がいく子供、自分の捕まえた生きものを再度確認する子供など様々。調査の結果は、ゲンジボタルを含む22種類の生きものが確認でき、児童からは「ゲンジボタルを初めて見た」「ヤゴを捕まえられてうれしい」「大きなアメリカザリガニを捕まえられて楽しかった」「こんなたくさんの種類の生きものがいて驚いた」といった感想が寄せられた。
メダカにビックリ
生き物調査に参加したメンバー。左から樽山さん、光橋さん、斎藤さん、森崎さん、粉川さん、加藤さん
「今年は昨年と違い、浅水管理したので、田んぼにどのくらいの生き物がいるか気にかかります。」と話すのは、昨年から田んぼの生き物調査を始めた千葉県茂原市六ツ野の光国農園代表・光橋国郎さんだ。
昨年の調査で46種類の生き物が確認された田んぼで、今年も6月3日に調査を実施した。
光橋さん
同地域はジャンボタニシの多発地帯なので、浅水管理をしていた事から現地に向かう間「生き物がどれくらいいるか」心配だった。
現地に着き、生き物調査を開始したとたん、田んぼから一声が上がった。「メダカがたくさんいる。」よく観察すると稚魚が多い。絶滅危惧種のメダカが田んぼにいるのを初めて見た。調査を進めていくとゲンゴロウ、トウキョウダルマガエル、ニホンアマガエルのオタマジャクシ、ノシメトンボのヤゴ、珍しい「タマカイエビ」等も採取できた。
田圃と水路で多く発見されたメダカ
トウキョウダルマガエル
斎藤さん
水路では「メダカ、コイ(稚魚)、モツゴ、ドブシジミ、ヒメタニシ」など。畦畔では「モンシロチョウ、ベニシジミ、ササキリ(幼虫)、タンボコオロギ、イオウイロハシリグモ」などが見つかった。
光橋さんは、「周囲(森が多く自然が多い)の環境がいいと生き物が戻ってくるんですね。」と感想を述べ、参加した地元農家の斎藤翔太さんは「田んぼに生き物がこんなにいるとは思わなかった。害虫しか知らなかったので、勉強になった。」加藤志恵さんは「楽しかったです。農薬と生物が共存し合っていることがわかりました」と話していた。
調査の結果、種類の違いはあるものの、昨年同様46種類の生きものが確認できた。
2015年
子どもから次々に質問!
(文科省霞が関子ども見学デーに田んぼの生きものを出展しました)
興味津々に水槽を覗き込む子供達
「大勢の子供達にタガメ等の珍しい田んぼの生きものを見せてあげたい」。7月30日に文科省で開催された「霞が関子ども見学デ―」で「田んぼの生きもの調査」をパネル展示するため、展示用の生きものの採集とパネル用写真の撮影を兼ねて栃木県塩谷町の田んぼを訪れました。
塩谷町の田んぼや休耕田からはお目当てのタガメを始め、タイコウチ、ミズカマキリ、クロゲンゴロウ、コオイムシなどの貴重な生きものが採集できた上、アオモンイトトンボ、コオニヤンマなどの撮影にも成功し、展示会に向けて万全な準備ができました。
タガメ
コオイムシ
コオニヤンマ
7月30日、「霞が関子ども見学デー」の日が来ました。残念ながらどうしても見せたかったタガメは死んでしまい展示することはできませんでしたが、水槽、パネルには採集・撮影した数々の珍しい生きものを展示したほか、生き物カードを製作して子どもたちを待ちました。
観察した感想を書く子供達
開催時間になり、スタッフが「田んぼの生きものを展示しています」と声をかけると次々に親子連れが訪れ、ブースの前に列ができました。水槽を食い入るように観察する子供や親から「このカエルの名前は」、「ミズカマキリやタイコウチ、ゲンゴロウは何を食べているの」など、沢山の質問がスタッフに寄せられ、休む間もなく対応に追われました。中には水生昆虫をよく知っている子供もおり、長い時間熱心に水槽を眺めていました。
タイコウチ
ギンヤンマのヤゴ
生き物カードは、レア度で点数を付けており、ジャンケンのように遊びながら、生きものの名前が学習できるように工夫しています。早速会場でカードを使って遊んでいる子供もいて、うれしくなりました。
子供達が書いてくれたカードの一部
来場した子供達に簡単な感想書くようお願いしたところ、たくさんの「ことば」=写真上(一部)=が集まりました。この1日で推定600人の親子にブースに立ち寄っていただき、大成功裏に展示会を終えることができました。
展示した生き物は下記の通り
両生類 :トウキョウダルマガエル、ツチガエル、ニホンアマガエル。
カメムシ類 :コオイムシ、タイコウチ、ミズカマキリ。
コウチュウ類 :クロゲンゴロウ、コシマゲンゴロウ、マルガタゲンゴロウ、ヒメガムシ、コガムシ。
魚類 :クロメダカ、ドジョウ
トンボ類 :ギンヤンマのヤゴ
中干し田んぼで初の調査
(千葉県 柏市)
6月30日(火曜日)に千葉県柏市の農業生産法人「沼南ファーム」(橋本栄介さん主催)所有の山場に近い田んぼで生きもの調査を実施しました。参加者は主催者の橋本さん、5月に千葉県茂原市で行った田んぼの生きもの調査主催者の光国農園の光橋国郎さん、三井化学アグロ㈱の職員でした。
沼南ファーム橋本さん
いざ調査田んぼに向かうと田んぼにほとんど水がありません。橋本さんに話を聞くと「調査時期が中干しと重なってしまった」とのこと。田んぼに水がない状態で生きもの調査をするのは初めての経験で、どのくらい生きものを採集・確認できるのかという不安を抱きながら調査を始めました。
スタートすると最初に大きなキバネベッコウバチを採集。
キバネベッコウバチ
水田内には水がほとんどないにもかかわらず、本来、水中や水辺に生息するニホンアマガエル、ハイイロゲンゴロウ、カラスガイの稚貝、アジアイトトンボ、アキアカネが、
畦畔ではバッタ類のツチイナゴ、エンマコオロギ(幼虫)、イボバッタ(幼虫)、ウスイロササキリ、ゴミ虫類ではオオキベアオゴミムシ、ミイデラゴミムシのほか、オオヒラシデムシ等が次々採集されました。
オオヒラシデムシ
採集した生きものが多かったため、すべての生物を写真にとり、後日同定作業を行った結果、58種類が確認されました。参加した光橋さんは「森の生きものも水田にエサを求めてやってくるのだなと感じました」。 主催した橋本さんに後日、58種類もの生きものが確認できましたと話すと「水のない田んぼでどれだけ生きものが採集できるか心配でしたが、こんなにいるとは思いもしませんでした」と喜んでいました。
「ヤゴとザリガニをつかまえたよ」
(宮城県
JAあさひな)
JAあさひなで小学生を招いて初の生きもの調査
6月16日(火曜日)、宮城県JAあさひなは、初の試みとして地元鶴巣小学校3年生12名を招いて「田んぼの生きもの調査」と「生きものあおぞら教室」を晴天のもと実施しました。最初に当社の水田環境鑑定士から生きものの採り方などの説明を受けた後、網と小型水槽を手に持ち、4班に分かれ、関係者とともに田んぼに入っていきました。
最初は田んぼの感触を気持ち悪がっていた児童も、生きものを見つけるなり「カエルとった」「タニシとった」「ヤゴとった」と各班から歓声が上がると、我さきに生きものを捕まえようと田んぼの中を必死に歩き回っていました。「終了」との声をかけると「まだ捕まえたい」との声も。
生きものを捕まえ満面の笑みを見せる児童
田んぼから上がった児童は互いに捕まえた生きものを興味深々で見せ合っていました。手足を洗った後、テントの中で、当社の水田環境鑑定士による「あおぞら教室」を開催。今回多く捕れた「ニホンアマガエル、アメリカザリガニ、タニシ、ヤゴ」などの生態を面白い話を織り交ぜながら説明したところ、質問ごとに児童が次々と元気に手を挙げ、多くの質問が出て、あっという間に終了時間となりました。また、前日に山場で関係者が行った生きもの調査で採集した生きものを展示、その中にヤマカガシ(ヘビ)がおり、子供たちは興味深く見入っていました。
あおぞら教室の風景
最後に校長先生からのご挨拶をいただいた後、手を振り元気に学校へ帰っていきました。
児童の感想
児童から生きもの調査の感想を書いてもらいましたので、その一部を紹介します(以下原文)。
「オタマジャクシをつかまえた。いっぱいつかまえた」
「魚を三匹とれてよかったです」
「田んぼがつめたくてきもちよかった」
「ヤゴとザリガニをつかまえたよ」
「アマガエルを6ぴき見つけてつかまえられたのでよかったです」
JAあさひなでは「初の試みとして行ったが、小学生に田んぼに入ってもらい、コメが生物多様性の中で、栽培されていることを実感してもらいよかった。今後とも農業や食への関心を深める活動を継続し、環境に優しいコメ栽培などを推進して行く」と話していました。JAあさひな、鶴巣小学校、当社とも有意義な一日でした。
種類の多さに驚きました
(千葉県茂原市 光国農園)
「こんなに生きものがいるとは思わなかった。田んぼって生きものの宝庫なんですね」と語るのは千葉県東金市・小川真人さん。5月26日に茂原市六ツ野の農業生産法人・光国農園(代表・光橋国郎さん)が主催した「田んぼのいきもの調査」に参加した感想です。
参加者は農家(農業生産法人含む)8名、消費者4名、当社職員8名の20名。
採取方法などを当社の水田環境鑑定士が説明した後、思い思いに水田、畦畔、水路に入っていきました。
採集が始まると「ヒルがいた、ゲンゴロウがいた、ドジョウがいた」「水路にカダヤシの群れがいる、アメリカザリガニがいた」と各所から歓声が上がり、子供の頃に戻ったかのように生きもの採集に熱中していました。
採集終了後は、生きものの種類を確かめる同定作業をした結果、約46種類の生ものが確認できました。
主催した光橋さんは「昨年、初めて生きもの調査に参加して、今年は圃場の提供者となりました。生きものは居ると思っていましたが、そのことの価値観を調査により感じています。さらに今回、知り合いの農家でない方も誘ったのですが、生きもの調査以来、水草やメダカ等、水辺の生きものに興味を持ったそうです」と話していました。
参加者の声
・「農薬を使用している水田に生き物がいるとは思っていなかった。農薬と生物が共存共栄してお米ができていると感じました」(夷隅市・太田正巳さん)。
・「諸事情で今年はできなかったが、来年はまた自分の圃場でやってほしい」(東金市・鈴木正昭さん)。
・「楽しかったです。来年も参加したいです」(東金市・矢部洋一郎さん)
・「仕事柄、毎日水田に入っているので、この位の生き物はいると思っていました。こんなに生き物がいるという生産者の声に、逆に驚きました」(茂原市・Oさん)
・「生き物の種類を確かめる時から参加しましたが、種類の多さに驚きました」(茂原市・Fさん)
2014年
農業生産法人の田んぼの生き物調査を支援
アメリカザリガニ
6月4日、千葉県東金市の農業生産法人「もとごや」(鈴木正昭代表)で、以前より依頼のあった「田んぼの生き物調査」を実施しました。当日は栽培仲間の農業生産法人のメンバーも参加しました。
ドジョウ
鈴木さんは「初めての生きもの調査で、生き物がどれくらいとれるか心配」と話していましたが、結果として、ドジョウ、アメリカザリガニ、マメゲンゴロウ、ヒメゲンゴロウ、コガタノミズアブの幼虫など、46種の生き物が確認されました。参加者は「大変面白い取組です。来年は消費者も呼んで盛大にやり、東金市の米をPRしたい」、「ぜひ来年は私の生産法人でもやってほしい」と好評でした。
3年目を迎えたJAあさひなの生き物調査(社内試験)
6月16日~17日、宮城県JAあさひな(佐藤政悦組合長)は田んぼの生きもの調査を実施しました。調査は特別栽培米実証展示圃、環境保全米実証展示圃の2ヶ所で、水田・水路・畦畔の生き物を捕獲・採取し、種名を確認しました。現地で種名が確認できないものは持ち帰って種の同定を行い、識別が容易な種については、目視確認・デジカメによる記録を行いました。調査の結果、特別栽培米実証展示圃ではヒメゲンゴロウ、マルタニシ、ヤマアカガエル等49種を確認。また、環境保全米実証展示圃ではオニヤンマ、オオホシボシゴミムシ、ナナホシテントウ等75種を確認しました。
福岡県で田んぼの生き物調査を実施
2014年には、田植えから出穂期にかけて3時期(7月中旬、8月中旬、8月下旬~9月上旬)に、福岡県の水田2カ所で、水田環境鑑定士および生物分類技能検定1級者による調査を行いました。
調査を実施した水田2カ所(水田A,水田Bと呼びます)はいずれも河口からほど近い(5km前後)、標高約3m前後、周辺は幅10m~0.5mの水路に接しています。
コガタノゲンゴロウ
水田内、畦畔、水路等を調査した結果は次の通りです。
殺虫殺菌混合箱粒剤の処理約3週間後の調査では、52種~66種、本田殺虫剤散布前、散布翌日、散布8日後の調査では79種~99種の生きものが確認できました。
ホウネンエビ
詳細な種の分類同定を行った結果、各調査時期とも非常に多くの種が認められました。併せて実施した水田内すくい取り定量調査では、水田内の生きものは、散布で一過的に生息密度が低下しても、種の多様性は維持されていました。
箱処理3週間後に確認された種数が比較的少ないのは、稲の草丈が低く、茎数もまだ不十分だった事が影響しているように推察されました。
薬剤散布前と散布後で調査水田を分けた理由は、採集による生きものの減少が調査結果に及ぼす影響を軽減するためです。
田んぼの生き物調査結果
調査水田 | 調査日 |
水田Aの生き物 確認種数 |
水田Bの生き物 確認種数 |
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箱処理 約3週間後 | 7月15日 | 52 | 66 |
水田Aの1本目 本田散布直前 | 8月8日 | - | 99 |
水田Aの1本目 本田散布翌日 | 8月9日 | 97 | - |
水田Aの1本目 本田散布8日後 | 8月16日 | 99 | - |
水田Aの2本目 本田散布直前 | 8月26日 | - | 79 |
水田Aの1本目 本田散布翌日 | 8月27日 | 80 | - |
水田Aの1本目 本田散布7日後 | 9月2日 | 98 | - |
水田での使用薬剤
<箱処理>
水田A=6月28日にジノテフラン12%殺菌混合箱粒剤 1箱あたり50g移植当日処理
水田B=6月22日にジノテフラン2%殺菌混合箱粒剤 1箱あたり50g移植当日処理
<本田散布>
水田A1回目=8月8日にジノテフラン20%顆粒水溶剤2000倍希釈液を鉄砲ノズルで散布
2回目=8月26日にジノテフラン20%顆粒水溶剤2000倍希釈液を鉄砲ノズルで散布
水田B1回目=8月13日にジノテフラン10%液剤8倍希釈液を無人ヘリコプターで散布
2回目=8月28日にジノテフラン10%液剤8倍希釈液を無人ヘリコプターで散布
- 記載データはあくまでも測定値の代表例であり、全ての事例に当てはまるものではありません。