ソイリーン:メロン産地での使用例
メロンの産地を守る土壌消毒剤「ソイリーン」
千葉県長生郡の一宮町、白子町は、太平洋側のほぼ中央、九十九里浜の南に位置し、風光明媚で気候が温暖な地域である。また、この地域は、東京から特急で1時間程度で行けるため、東京近郊屈指のリゾート地として多くの観光客を集めている。
温暖な気候を活かしたメロン栽培
JA長生は、一宮町、睦沢町、長生村、白子町、長柄町、長南町、茂原市から構成され、管内でつくられた農産物を全国に出荷している。JA長生では、農家の高齢化や後継者不足の問題を解決するため、平成7年8月29日に大型集出荷選果施設「グリーンウェーブ長生」を竣工した。現在、この施設では、メロン、トマト、きゅうり、なしの荷受けから選別、荷づくりまでを最新の機械で自動化している。さらに、非破壊内部品質センサーとトレーサビリティシステムにより、高品質で安全・安心な商品づくりを行い、東京近郊を中心に出荷している。なかでも温暖な気候を活かしてつくられる「ながいきマスクメロン」というブランド名のメロンは、31名の部会メンバーが約8haの面積で栽培している。
メロンえそ斑点病防除に「ソイリーン」
メロンは連作していると、さまざまな連作障害が発生してくるが、そのなかでもメロンえそ斑点病は全国的に問題となっている。メロンえそ斑点病は、主に土壌中のカビ(オルピディウム菌)が媒介するウイルスによって引き起こされる土壌伝染性のウイルス病害である。苗がこのウイルスに感染すると、葉、茎、果実などに褐色のえそが発生し、その後、果実が空洞化したり株が枯死する。防除には臭化メチルが用いられていたが、平成24年末に使用禁止となったため、新しい防除技術が望まれていた。
現在は、①ELISA法による診断②感染が確認された圃場での抵抗性品種の導入③土壌消毒剤「ソイリーン」処理によるメロンえそ斑点病の媒介菌の密度低下など、県とJAが共同で確立した防除技術により、メロンえそ斑点病の被害拡大を防いでいる。
また、メロンとトマトの輪作によりウイルス密度が低下することもわかり、現在はほぼすべての農家がメロンとトマトの栽培体系を行っている(図-1)。
なお、各農家では、「ソイリーン」処理に必要な消毒機を購入し、メロンえそ斑点病や線虫の防除に使用している。
地名を活用したブランド作物の栽培
JA 長生では、長生という地名を活用して「ながいきマスクメロン」「長生トマト」「長生キュウリ」「ながいき梨」「長生ねぎ(秋冬ねぎ)」「ながいきねぎ(水耕小ねぎ)」など「長生・ながいき」を冠したブランド作物を栽培・出荷している。
今後も、「味よし、色よし、鮮度よし」を合言葉に、美味しい野菜、美味しい果実を食卓に届けていきたい。
【JA長生 農産園芸部 園芸販売課】