ネビリュウ:こまつな栽培での根こぶ病軽減に向けた薬剤試験を実施

微粒剤「ネビリュウ」の効果を検証

福岡県久留米市の代表的な野菜のひとつに、こまつながあります。こまつなは、輸送時や販売時に傷みやすいことから、都市近郊や消費地近くでの生産が多い傾向があり、久留米市は福岡県でも最大の生産地です。JAみい小松菜部会は17名の部会員で構成され、30ha以上の施設面積で生産しています。また、同部会は、安全・安心なこまつな栽培に向けいち早くJGAP認証を取得し、JA、普及指導センターとの連携のもと持続可能な生産を目標に日々邁進しています。

根こぶ病防除の現状と課題

こまつなの連作障害のひとつに「根こぶ病」があります。根こぶ病は、作物の根にコブをつくり生育不良を発生させ、収量の減少につながる病気です。JAみい管内の根こぶ病発生圃場では、化学的防除と耕種的防除を組み合わせた対策を行っています。化学的防除で多く用いられる粉剤は、粒径が小さいため風の影響を受けやすく、均一散布の難しさとドリフトが課題となっています。そこで、今まで使用されていなかった微粒剤「ネビリュウ」に着目し、2019年に根こぶ病に対する防除効果を確認しました。

試験方法と抑制効果

JAみい小松菜部会では、A粉剤(慣行農薬)が使用されている根こぶ病発生ハウスで試験を行いました。まず、試験ⅠとしてA粉剤と「ネビリュウ」を処理したハウスを1棟ずつ設け、収穫時の根こぶ病の発生程度を調査しました。次に、試験Ⅱとして1作目、2作目ともに「ネビリュウ」を処理したハウス、1作目にA粉剤、2作目に「ネビリュウ」を処理したハウス、1作目、2作目ともにA粉剤を処理したハウスを1棟ずつ設け、同様の調査を行いました(写真1)。なお、前作までの根こぶ病の発生程度は、各ハウスほぼ同じでした。この結果、試験Iで「ネビリュウ」はA粉剤より防除効果が高く(表1上段)、試験Iで「ネビリュウ」の連続処理が防除効果を高めることがわかりました(表1下段)。今回の結果の要因として、「ネビリュウ」の有効成分フルスルファミドの根こぶ病菌に対する防除活性が高いことに加え、微粒剤であるため飛散が少なく、散布ロスが軽減した点が考えられます(QRコード参照)。

小松菜部会では、この事例を部会の会議で共有し、根こぶ病対策のひとつとして活用していきます。そして、今後も久留米市のこまつな生産を支援していきます。

【福岡県朝倉農林事務所 久留米普及指導センター
野菜花き課 野菜第一係】