3. 作用機構

病原菌の侵入や胞子離脱を抑え、蔓延を防ぐ。
いもち病を強力にシャットアウトします!

メラニン生合成阻害 『MBI-P』:1-1

付着器のメラニン化阻害

トルプロカルブは、いもち病菌の付着器のメラニン化を阻害!

イネいもち病菌の付着器のメラニン化に対するトルプロカルブの影響を、セロファン法で評価した。トルプロカルブは、胞子発芽・発芽管伸長・付着器形成を阻害しないが、付着器のメラニン化を阻害した。

メラニン生合成阻害 『MBI-P』:1-2

付着器のメラニン化阻害

いもち病菌の付着器のメラニン化を阻害!

イネ(品種:幸風)の葉身にイネいもち病菌を摂取して、65時間後に透過型電子顕微鏡で観察した。無処理は、イネいもち病菌の付着器内にメラニン層が形成されていたが、トルプロカルブ処理(0.3ppm)は、メラニン層が形成されなかった。

メラニン生合成阻害 『MBI-P』:2

菌糸の侵入を阻害

いもち病菌のイネ体への菌糸侵入を防ぐ!

イネいもち病菌のイネ体への侵入に対するトルプロカルブの影響を、葉鞘裏面摂取法で評価した。
トルプロカルブは、付着器のメラニン化を阻害し、イネ体内への菌糸の侵入を阻害した。

メラニン生合成阻害 『MBI-P』:3

いもち病菌のメラニン生合成阻害

トルプロカルブは、これまでのいもち病防除剤とは作用性が違う!

トルプロカルブは、イネいもち病菌のメラニン生合成を阻害した。他のメラニン生合成阻害剤と比べて、菌叢の色や形状が異なった。

試験方法

供試薬剤の濃度が10ppmになるように調製したPDA培地にイネいもち病菌を摂取し、25℃暗黒下で10日間培養。

メラニン生合成阻害 『MBI-P』:4

胞子離脱の阻害

いもち病菌の胞子離脱を阻害し、蔓延を防止!

1/10000aワグネルポットにトルプロカルブ粒剤(有効成分3%)を3kg/10a相当量処理し、イネいもち病胞子懸濁液(菌密度1×10⁵個/ml)を摂取した。その後、形成された病斑に2.8m/sの風をあてた。トルプロカルブは、いもち病菌の胞子離脱を阻害した。

メラニン生合成阻害 『MBI-P』:5

白色分生子の感染・生存能 (自然光下では白色分生子のイネ体への感染能は低下する)

いもち病菌の胞子の生存能力を低下させ、新たな感染を防ぐ!

試験方法(温室内ポット試験)

薬剤濃度が3ppmになるよう調製したオートミール寒天培地で25℃10日間、イネいもち病菌を培養した後、気中菌糸を除去してからBLB照射下で25℃7日間培養して胞子(分生子)を形成させた。得られた分生子を0.05%グラミンS水溶液に懸濁し2.5葉期のイネ苗に摂取して25℃自然光下の温室で7日間栽培後、病斑数を調査した。

*薬剤無添加との比較で有意差あり(P<0.01)

植物の病害抵抗性を誘導

もう一つの作用機構『病害抵抗性誘導』
一つの有効成分に2つの作用機構!トルプロカルブには、植物の病害抵抗性誘導の作用もあることがわかりました!

トルプロカルブ処理イネにおける抵抗性発現

通常、農薬の作用機構は1つなのですが、トルプロカルブには2つの作用機構、すなわち、メラニン生合成阻害(MBI-P)と病害抵抗性誘導(SAR)の2つがあることがわかりました。イネいもち病防除において、それぞれの作用機構がどの程度寄与しているのか、引き続き研究を進めていく方針です。また、抵抗性誘導剤として機能していればイネいもち病以外にも防除できる病害があると考えられることから、様々な病害に対する効果を評価する予定です。
耐性菌や抵抗性害虫への対策は、異なる作用機構の薬剤を混用あるいは混合するのが最も有効であるとの説があります(REX Consortium, Trends in Ecology & Evolution, 28(2), 110-118 (2013))。トルプロカルブには2つの全く異なる作用機構があると考えられることから、耐性菌リスクは低い可能性があります。また、病害抵抗性誘導は病原菌に直接作用しないことから耐性菌リスクが低い作用機構であると考えられており、実際、抵抗性誘導剤はイネいもち病の防除に40年以上使用されていますが耐性菌の報告はありません。

興味を持たれた方は、ぜひ製品詳細をご確認ください

トルプロカルブ配合製品
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